先走りナランチャ誕生日企画!

祝ナランチャ成人(故人だが)これでチミも立派な大人だね。国民健康保険や年金や住民税や所得税を納めるようになってしまうんだね。
忘れた頃に前年度分の徴収が〜…と慌てずに済むように遊んでばかりいちゃ駄・目・ダ・ゾ☆
きっと選挙にも行くだろうから同じ土地には半年以上続けて住むんだぞ。住所不定なんてダメダメ。

でもギャングだから…国の庇護の元を離れて自分の責任は自分で取るんだよね…あっ、そうかだからもう!
まあ第一巡目の世界では悲惨な結末を迎えてしまったけど、きっと二巡目の世界ではどこかの学校を卒業してフリーターでもしているに違いない。

ナランチャ大誕生会

「ナランチャ〜、ナランチャ?」

夏もいい塩梅。涼しげな風が網戸の向こうからやってくるぜ。足元を見ると、蚊取り線香が燃え尽きて螺旋の灰になっている。
「蚊取り線香の匂いが好きだって言ってたな…」

まだ蚊が出るわけでもないのに、ナランチャらしい。イタリアに蚊が出るのかとか、まして蚊取り線香が存在するのかなどつまらないことは気にしてはならない。

「う…うはあ」

タオルケットから無遠慮に突き出された足。サルマタの青と白のストライプが映える。松本零士仕様だ。イタリア国民の過半数がサルマタを愛用するという。トランクスともいうが、SARUMATAで通用するほどイタリアでは親しまれている。

「誰?フーゴ?」
「おはよう。他に誰だと思ったんです?」

タオルケットを剥ぎ取り、ベッドの傍らに腰をおろす。

「この間掃除をしてからまだ一週間も経っていないのにもうサルマタケが生えてますよ」
「ああ…でも勝手に生えちまうものはしょうがねえだろ?そういうもんなんだよ」
「うーん、僕の部屋は生えませんけど…」
「それ間違ってる!」
「間違ってるのはこの部屋です」

フーゴはゴミ収集袋を取り出すと、片っ端からキノコを放り込んでいった。
目に付く場所だけでミ袋2つがいっぱいになった。

(イラスト:ミョンさんから提供。ありがとうございます)

「ありがとう、フーゴ」
「菌類と僕は切って切れない間柄ですからね。そんなことよりとっとと支度してください」
「はーい」

その辺の床に落ちている皮パンを身につけ、上着に腕を通すナランチャの腹筋が眩しい(クラクラ…
鬼のパンツを歌いながら支度をするナランチャをフーゴはやさしく見守っていた。

「できたぜー。それにしても今日は随分早いんじゃね?」
「あ…ちょっと待ってください」

落胆するフーゴの様子に気付かず、扉を開け階段を駆け下りるナランチャ。靴音がやたら響く。階段室はじめっとしてひどくカビ臭い。ナランチャは倒れっぱなしになっている消化器に気付くと立て直した(数日前にそれを蹴倒したのは彼だがそんなことは憶えていない)そうこうするうちにフーゴが追いついた。

「おせーよフーゴ、早く来いよ」

やや乱暴にナランチャがフーゴの腕を掴みひっぱる。
---ああ、僕は気が遠くなりそうです---

「ちょっと待ってください」

もう5月なのでスーツも半袖に替えた。スースーして落ち着かないのはそのせいだろう。手をどこに収めていたらいいのか…。戸惑って手をほどくと一層強く握られた。どういうことなんだよナランチャ、僕はもう分からないよ。照れくささを紛らす為に、フーゴはナランチャを引っ張るように走った。

「今日は特別な日なんだ…」

街の中心からやや外れた地下のレストランに二人は消えていった。

フロアに他の客はいない。そこかしこに白い花が活けられ、甘く重い香りが部屋中に放たれている。深みのあるオレンジのクロス。各席の白い皿は濃紺で縁取られ、その上に綺麗に折られたナフキンが置いてある。ナイフフォークスプーンが左右に数え切れぬほど。グラスもシャンパン、白ワイン、赤ワイン、ゴブレットと手前から奥にきちんと並べられている。

「すげー、今日ここで食事?」
「そうです」
「なんか俺ブチャラティやアバッキオになったみてー!」
「ははは…」
「あの二人ってこういうとこ来ても浮かねえよな、なァ!」
「ナランチャ、ぼくはちょっと席を外します。すぐに戻りますが一人でもちゃんとしているんですよ」
そうナランチャを見つめるフーゴの目のフチにはきらりと光る涙が…などということはなく、クロスを剥がしたりしたらただじゃおかねえぞという気迫が宿っていた。

ナランチャはしばらくはじっと座っていたが、一人でじっとしていることはできぬ性分。花弁をなぞったり花粉を鼻に付けて咽せこんだりした。中でも大きく咲き誇る一本を取ろうと腕を伸ばした時、部屋の照明が消え、闇の中でナランチャは組み伏された。

「うわああああああ」

声を出そうとして口を塞がれた。

「何もしねえからじっとしてろ」

聞き覚えのある声だった。

「僕もいます」
「フーゴ…!」
「悪いがちょっとの辛抱だ」
「ブチャラティ、何?何なんだよォー」

髪の先がナランチャの頬にふれる。ヘアバンドを引っ張られ幾つかの手で何かが差し込まれた。

「もういいぞ」

部屋の明かりがついた。

「どうなってんだよ、誕生日なのにビックリさせるなよなーッ」

びくっとする一同。

「ハハ、わかってましたか」

フーゴがクラッカーをしまいかける。ナランチャ一瞬しまったという表情をするがひらきなおる。

「あたりまえだろー。元々イベント好きだし自分の誕生日忘れるわけないじゃんか」
「まぁ…そうですね」
「みんなその格好どうしちゃったワケ〜?」
「ふふ、お前だって充分変な格好してるぜ」
「うわ、頭に花がー。しかも、とっ…取れない」
「めでたさに一層花が…おめでとう、ナランチャ」
「おめでとう」「おめでとう」「おめでとさん」
「コレはつまらない物ですが皆で選びました」

ゴツッとテーブルに置かれるオレンジ。ただし手足が生えている。
「こっ…これは…」
「メキシコの名産らしいですよ。魔除けだそうです」
「くっ…もうどうにでも祝いやがれ〜」

「俺が写真を撮ってやるぜ」と全身ボンテージのミスタがカメラを構える。懸命なジョルノはファインダーの外にずれた。

はい、キムチ!

最近、文字と絵込みのコンテンツを作ってませんでした。ナランチャバースデー思いつき企画です。妙に長くなってしまいました。衣装に節操のないブチャラティチームを描きたくてだいぶ前に没った物です。誕生日に呼ばれればそりゃ本人は気付くよな…とドッキリ企画ではないです。ミスタとジョルノがいないので正式版はまたいずれ…。最近ジョルノにも愛が芽生えつつあるのですよ。

(04/05/13)